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ゲームできない憂がテイルズシリーズについてを語る専用のブログです。 プロフィールのとこに拍手ありますので何かあればそちらに^^
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山のように積まれていた書類を片付け、アスベルは大きく伸びをした。
それと同時に扉からコンコン、と控えめなノックが聞こえてくる。
どうぞ、と返事をすると、開いた扉からひょこっと薄紫色の小さな頭が現れた。
「ソフィ?」
「……アスベル、お仕事忙しい?」
顔を出しただけで姿を見せないソフィに苦笑いしつつ、今ちょうど片付いたんだと答える。
するとソフィの顔が一気に明るくなり、先程までぺったりくっついていた扉から離れ駆け寄ってきた。
「あのね、この前花壇にいっぱい植えた種、花が咲いたの…!」
彼女にしては珍しく、興奮気味に一気にまくし立てるように話す。よっぽど嬉しいのだろう。思わずこちらも顔が綻ぶ。
「そうか!じゃあ、見に行こう」
いつものように柔らかい薄紫の髪を撫でてやると、ソフィはくすぐったそうに目を細めた。
「う、わぁ………!!」
この前まで土の茶色が広がっていた庭の花壇が、ソフィの手によって様々な色で埋め尽くされている。
あの花畑を思い出させるような、それはそれは綺麗な光景が、アスベルとソフィの前に広がっていた。
「みんな、すごく綺麗に咲いてくれたんだよ」
「本当だ……良かったな、ソフィ!お前が一生懸命世話をしたから、こんなに綺麗に咲いたんだ」
な、とアスベルは隣のソフィに笑いかけた。
その優しい笑顔に、ソフィの胸の奥がきゅん、と小さく鳴った。
聴き慣れない不思議な音に、ソフィは首を傾げる。
「ソフィ、どうした?」
「変な音、した」
「え?何も聞こえなかったぞ…」
「それにね、うれしい」
「え、ああ…花か」
「…ううん。アスベルの、笑った顔」
「……俺?」
断片的なソフィの言葉に混乱していると、彼女はこくりと髪を揺らして頷いた。
「アスベルの笑った顔、見るとうれしいの。みんなの笑った顔もうれしいけど…アスベルは、もっともっと、うれしいの」
「…っ!?」
「だからね、アスベルに喜んでほしくて…一番に見てもらいたかったの」
ふんわりと、まるでそこに咲いている美しい花のように、ソフィは微笑んた。
一緒に旅をしていた時から少しずつ、女性らしくなっていく彼女の笑顔に、アスベルの顔はじわじわと熱くなる。
ソフィの言葉を少しずつ解釈していけばいくほど、熱は身体全体に広がっていった。
思わずしゃがみ込み、口元を押さえて顔を真っ赤に染めるアスベルを、体調が悪いと捉えたソフィは心配そうに顔を覗き込む。
「アスベル、熱あるの?大丈夫?」
「い、いや、大丈夫だから…」
「でも、顔赤い」
「~~~~っ、こ、これは…!」
無邪気に顔を近づけてくるソフィに、アスベルはうろたえる。くっつかんばかりの鼻や自然とかかる吐息に、心拍数は上がるばかりだ。
すると、頭に小さな重みを感じた。なでなで、とそれは微かに頭の上で動いている。
「私、アスベルにこうしてもらうと落ち着くし、うれしい。だからね、今日は私がアスベルにするの」
「…ソフィ……」
顔を上げると、自然と目が合った。きょとん、と目を丸くしたのもつかの間、ソフィは優しく笑う。また、アスベルの顔が熱くなっていく。
いつからだろう、彼女がこんなにも女性らしくなっていったのは。
自分が彼女の笑顔や仕草に、顔を赤く染め上げるようになったのは。
自分以外誰も、彼女に触れてほしくないと、思うようになったのは。
考えれば考えるほどにわからなくなる。絡まった糸のように、解けない。
それでも身体は勝手に動いて、ソフィの細い腕を引っ張り華奢な身体をぎゅう、と抱きしめた。
「……アス、ベル?」
これにはさすがにソフィも動揺したようで、戸惑いを含んだ声で名前を呼ぶ。
「………こっちの方が、嬉しい…かも」
「…そうなの?」
「………うん」
「わかった」
了承の言葉の後に、ソフィがさ迷わせていた両手を、アスベルの背中に回した。彼女の暖かい温もりが、アスベルの胸に広がる。
「アスベルがよくなるまで、こうしてる」
「ああ…ありがとな、ソフィ」
返事の代わりに、ぎゅ、と抱きしめる力が強くなった。
更に大きく聞こえる少し早い心音が、何だかとても心地良い。
「アスベル、あったかいね」
「……ソフィも、あったかいよ」
どちらともなく顔を合わせ、笑いあう。
一度は消えてしまった、でも再び出会えた温もりは、もう二度と消えたりしないと。
確信なんてきっと、ない。でも。
そう思った。
『変わってゆく』
(変わってゆく、俺のこころ。彼女への想い。)
(でも、このぬくもりは)
(あの頃と同じように、変わらないままでここにあって。)
(やさしくて、あたたかい)