『君が傷つかないように』
「よっ、大将。お疲れさん」
魔物との戦闘が終わって、一息ついて岩に座っているユーリに声をかける。
彼は珍しい事にぼーっとしていたらしく、驚いた顔でこちらを向いた。
「あー、お疲れさん」
「今回も見事な剣さばきだったわよーん」
からかうように近づいて横に座ると、ふっと鼻で笑われた。
「そりゃどーも。おっさんは俺が見たところ、後ろで俺の勇姿を見ながら悶え休んでてくれたみたいだけどな」
「はっはは、よく見てんなぁ」
あの程度の魔物、手を出す必要なかったしな。
そう付け足すと、ユーリはまぁそうだな、と短く返した。
少しの沈黙が生まれる。
正直、こういう空気は苦手だ。
何を話そうか、と思いを巡らせ、ちらりと横にいる青年の顔を窺う。
青年は、何かをじーっと見つめていた。
彼の視線を追うと、納得したと同時に笑いが込み上げる。
青年の視線の先には、桃色の髪をした優しい少女。
先程の戦闘で負傷した仲間を自らの治癒能力で回復させている。
そんな少女を、青年は優しく、でも少し憂いを帯びた瞳で見つめていた。
レイヴンは、二人を交互に見て自然とにやける口を手で押さえつつ、最近疑問に思ってたことを思い出す。
「…最近気になってたんだけどさ」
「ん?」
「嬢ちゃん、戦闘メンバーに入れないよね」
こちらを向いたユーリの目が、少しだけ見開かれる。
彼は柄にもなく、驚いているようだった。
目で何故だ?と先程の質問の続きをすると、ユーリは小さく溜め息をついた。
「べ」
「別に、何となくって答えはなしな。青年」
「………」
「正直に言いなさいよ、ここにはおっさんしかいないわけだし」
自分には珍しい、落ち着いた音色で促す。
この青年の本音は、なかなか聞けないものだからきっと自分も慎重なのだ。
ユーリは観念したかのようにもう一度溜め息をつくと、視線を桃色の髪の少女に戻して小さく口を開いた。
「……あいつのこと、傷つけたくないんだよ」
今度はこちらが、目を見開く番だった。
彼の黒くて長い髪が、強い風で彼の背中に送られる。
さっきまで見えにくかった彼の顔が、よく見える。
それは、愛しいものを愛でる眼差しで
今までに見たことがないような顔で
せつなくて
やさしくて
あたたかくて
何だか、見てはいけないものを見たような気持ちになった。
「嬢ちゃんに、言ってあげた方がいいんでない?」
きっとあの優しい少女は、戦えない事を気にしているから。
「言わねぇよ。これは俺の我が儘だからな」
自嘲気味に笑い、すっと立ち上がる。
「ほら、そろそろ行くぞ。みんな待ってるし」
剣を持っていない手を軽く振って、ユーリは一足先に歩き出す。
その背中を見て、レイヴンは大きくわざとらしい溜め息をついた。
「クールぶってるのもいいけど、言わないとわかんないこともあるんだぞー」
彼には聞こえない、小さな独り言。
きっと少女は落ち込んでいるだろう
戦闘に出て戦えないこと
みんなに、青年に迷惑をかけていると
「嬢ちゃんがさっきの言葉聞いたら、どう思うかねぇ」
青年と少女の両方の思いがわかってしまったこのびみょーな年頃の男は、少し後に自分が言ってしまうことも知らずにぼさぼさの頭を軽く掻いた。
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捏造もいいところですね、はい。
ユーリの口から聞きたかったよー!「あいつを傷つけたくない」!むふふ^^(きもす)
でもそれを言わないのがユーリだよなぁ。このむっつりさんめぇぇえ(´∀`)
てゆっかほんとにエステルがいねEEEEEEE^^^^^^^
おっさんことレイヴン目立ちすぎですいまっせん!おっさんだいすきなんだ・・・!らぶ!!
スキット後の話も今もりもり考えてます^^そっちはエステルがちゃんといるよ!
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